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From...天然うなぎ

 山間部の渓流沿いで育った私にとって、夏休みの一番の楽しみは、実家のすぐ前の川で朝から晩まで毎日川遊びができることでした。

 夏休みがやってくると、子どもたちだけで川に集まり一日中、泳いで、遊んで、カジカやヤマメ、アユを追いかけまわしていました。昼ご飯時になると水着のまま家に帰り、ご飯を食べ終わるとまたすぐに川に降りて行くのです。

 ウナギもよく獲りました。もちろん、天然ウナギです。昼間、川の中でアユを獲っている最中に出くわすこともあるのですが、子どもにとって一番獲りやすいのはさげ針とか置き針と呼ばれる方法でした。夕方になったらたこ糸の先に結んだウナギ用の針に、昼間川で獲ったアユの切り身や丸ごとのカジカなどをエサにして刺し、そのたこ糸を手頃な石に結わえてウナギが夜に通りそうな川底に一晩仕掛けておくのです。翌朝早く、仕掛けを上げに行くのですが、この時の期待感やわくわく感は今でもハッキリと思い出すことができます。翌早朝、まだ水が冷たい川に入り川底をそ〜っと箱めがねで覗くと・・・仕掛けにかかったウナギがジッ〜とこちらを見ています。それを引き揚げ大喜びで家に持ち帰ると、父親が即座に捌いてくれて、私たちが朝のラジオ体操に行って帰ってくる間に捌かれたウナギが串に刺され、囲炉裏の火の周りに並んでいるのでした。

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 このような夏休みは中学生の頃までずっと続きましたが、ちょうどその頃は社会や時代が大きく変化する時期でした。やがて、子どもたちは川ではなく学校のプールで泳ぐようになり、川は近づいてはいけない危険な場所と認識されるようになっていったようです。もちろん川には危険なこともいっぱいあるのですが、その危険ときちんと向き合う心構えや対処法も、私たちは川遊びの中から学んでいました。

 いま、日本全国の河川から子どもたちの遊ぶ姿、そして天然ウナギまでもが姿を消しつつあります。せめて夏休み中のキャンプやふるさとへの帰省の折に、少しでも多くの子どもたちが楽しくて安全な川遊びの体験をしてもらえればと願ってやみません。


CAMPING160より掲載