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From...キャンプは何のために?

 

 インストラクター講習会で、若い受講者と話をしていて「キャンプって、いったい何だろう」と思ってしまった。

 私がキャンプを始めたころのイメージでは、キャンプ場に着いてまずすることといえば、テントを張り、水場とかまどをつくり、トイレ用の3つの穴を掘るといった、生活の場の確保だった。しかし、今どきそのようなことができるキャンプ場でキャンプをしている人はいない。受講生は、小川の水で煮炊きをしたり、穴を掘っただけのトイレを使ったりするようなキャンプなんて行きたくないと思っていたにちがいない。

 しかし、H. G. ディモックが言うように、キャンプが社会性を育むためにあるのなら、便利すぎる生活環境が整ったキャンプは、その力が弱いかもしれない。生活環境を自分たちで整えないといけないキャンプでは、キャンパー同士の間でさまざまなせめぎ合いが生じる。寒いし、雨にぬれるかもしれないテントの入り口に寝るのか、真ん中で温かく寝るのかを考えながら、狭いテント内で寝る位置を分け合う。誰もが嫌がる暑い夏の火の番を誰かがする。おいしく炊けなかったごはんを前に、「お前が入れた水の分量が少なすぎた」とか、「火から降ろすのが遅かったのだ」といったもめ事が起こるかもしれない。そういったキャンプだからこそ養われる社会性もあるだろう。不便なもの、せめぎ合いの原因となるものをすべて取り払ったキャンプでは実現できないこともあるのではないだろうか。

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 松田稔は生前、昭和30年代の暮らしがキャンプの理想の生活形態だと言っていた。あまり不便すぎても、便利すぎても、それはキャンプではないと言う。また、シーツや毛布も、二人がかりでないときれいにたためないから意味があるとも言っていた。

 

 この夏、あるキャンプ場を予約しようとしたら、利用費だけで1人1泊2,000円と言われた。それでは予算超過になってしまうので、「テントサイトは?」と確認すると、何にもないところだけれど400円でいいと言う。

 期せずして、自分たちで生活の場を確保することから始まるキャンプをすることになった。わくわくしているのは私だけかもしれないが、「こんなキャンプも楽しいね」と言わせてみたいと、張り切っている。

 私たちは何のためにキャンプをするのか、その目的を果たすための手段としてどのようなプログラムがふさわしいのか、この夏、もう一度考えてみたい。


CAMPING154より掲載